多忙な現代の男性にとって、勤務先から直接通夜に向かうことは珍しいことではありません。その際、最も悩ましいのが、日頃使用しているビジネスバックの扱いです。一般的なビジネスバックはA4サイズが入る大きなものが多く、素材もナイロンや、光沢のある革、あるいは派手な金具がついていることがあります。また、中にはパソコンや書類が詰まっており、そのまま式場に持ち込むのはマナー違反となります。理想的な対応は、会場に到着する前に、駅のコインロッカーにビジネスバックを預けることです。その上で、あらかじめ鞄の中に忍ばせておいた黒い布製のサブバックや、小型のクラッチバックに数珠と袱紗、貴重品だけを移し替えて会場へ向かいます。もし会場にクロークがある場合は、大きな鞄を預けることも可能ですが、受付の混雑時には手間取ることがあるため注意が必要です。式場内に大きな鞄を持ち込むと、座席の横に置く際に邪魔になるだけでなく、弔事の厳粛な雰囲気を損なう要因にもなります。最近では、ビジネスカジュアルの普及により、リュックサックやショルダーバックを使用する人も増えていますが、これらは葬儀の場では非常にカジュアルすぎると見なされます。たとえ色が黒であっても、背負うタイプの鞄は喪服の肩の部分を傷めるだけでなく、見た目にも不釣り合いです。どうしても手ぶらで行けない場合は、できるだけ薄型で、ロゴや装飾の目立たない黒い手提げ鞄を選び、会場では目立たない場所に置くよう細心の注意を払いましょう。1人で参列する場合は、周囲の目がより厳しくなることも意識すべきです。12万円、20万円といった高額なスーツを着用していても、脇に抱えた鞄が不適切であれば、全体の印象は台無しになってしまいます。急な訃報にも柔軟に対応できるよう、職場の引き出しや車の中に、葬儀用の小さなポーチやサブバックを常備しておくのも、仕事ができる男性の嗜みと言えるかもしれません。どんな状況下でも、その場の空気を読み、適切なバック選びをすることは、故人への最大限の敬意を表すことに繋がるのです。
仕事帰りの葬儀と適切なバックの扱い方