故人の命日に行われる回忌法要は、故人を偲び供養するための大切な機会です。この際にお供えする御供物にも、法要の時期に合わせた適切なのし紙をかける必要があります。回忌法要における御供物ののしについて、知っておきたいマナーを解説します。まず、回忌法要で御供物にかけるのしの表書きは、一般的に「御仏前」とします。これは、四十九日を過ぎると故人の魂は仏様になると考えられているためです。一周忌、三回忌、七回忌といったその後の年忌法要でも、同様に「御仏前」を用いるのが一般的です。ただし、浄土真宗では亡くなってすぐに仏様になるという考え方から、最初の法要から「御仏前」とします。四十九日までの期間では「御霊前」とするのが一般的ですが、これは故人の魂がまだ現世にとどまっていると考えられているためです。回忌法要は既に仏様となられた故人への供養であるため、「御仏前」とするのが適切です。のし紙に印刷される水引は、弔事用の黒白または黄白の結び切りを用います。これは一度結んだらほどけないことから、「弔事が二度と繰り返されないように」という願いが込められています。地域によってはあわじ結びが使われることもあります。水引の本数は、一般的な御供物であれば5本、より丁重な気持ちを表す場合は7本を選ぶことが多いです。水引の下には、御供物を贈る方のフルネームを記載します。夫婦や連名、会社名で贈る場合のマナーは、通常の弔事の御供物と同様です。施主側へのお供え物であることを明確にするため、丁寧に氏名を書き入れましょう。回忌法要は、故人の霊が安らかであることを願い、参列者と共に故人を偲ぶ場です。適切なのし紙を用意することは、故人への感謝と供養、そして遺族への心遣いを示す大切な作法と言えます。迷った場合は、出席する他の親族に相談したり、品物を購入するお店で尋ねたりすると安心です。故人を偲ぶ気持ちを込めて、心を込めて準備することが最も大切です。