葬儀に参列する際、男性の服装はブラックスーツが基本ですが、意外と悩むのが小物を収納するためのバックの扱いです。かつての日本のマナーでは、男性は手ぶらで参列するのが正式とされてきました。しかし、現代社会ではスマートフォン、財布、数珠、香典、ハンカチ、さらには車の鍵や眼鏡ケースなど、持ち歩かなければならない必需品が以前よりも格段に増えています。これらをすべてスーツのポケットに詰め込んでしまうと、上着のシルエットが不自然に膨らみ、型崩れを起こしてしまいます。特にズボンの後ろポケットに財布を入れると、座った際の見栄えが悪くなるだけでなく、生地を傷める原因にもなります。こうした実情から、現在では男性もフォーマルなバックを持参することが一般的に認められるようになりました。葬儀にふさわしい男性用バックの絶対的な条件は、まず色が黒であることです。そして、光沢のないマットな質感の素材を選ぶことが極めて重要です。本革であればスムースレザーや、表面を細かく加工したシボ感のあるものが適していますが、光を反射するエナメル加工や、動物の殺生を強く連想させるクロコダイルやヘビ革といった型押し素材は、弔事の場では厳禁です。布製であれば、上質なポリエステルやナイロン素材で、余計な装飾がないものを選びましょう。バックの形状としては、小ぶりなクラッチバックやセカンドバックが最も標準的です。サイズはA5からB5程度が、手に持った際も邪魔にならずスマートに見えます。ビジネスバックのような大きな鞄は、式場内への持ち込みを避けるのがマナーです。どうしても仕事帰りに大きな鞄で向かう場合は、駅のロッカーに預けるか、会場のクロークを利用しましょう。バックのデザインは、ブランドロゴが目立つものや、金色の金具が使われているものは避け、ファスナーの引き手まで黒で統一されたものが理想的です。大人の男性として、葬儀という厳粛な場にふさわしいバックを1つ用意しておくことは、故人を偲び、遺族に寄り添う気持ちを形にするための大切な準備と言えるでしょう。
葬儀に参列する男性が選ぶべきバックの条件