葬儀の動画撮影において、映像と同じ、あるいはそれ以上に大切なのが「音声」です。後で見返した際、どれほど映像が綺麗でも、何を言っているか聞き取れない動画は、記録としての価値が半減してしまいます。葬儀特有の音、例えば重厚な鐘の音、僧侶の朗々とした読経、参列者の静かなすすり泣き、そして何より故人へ向けられた最後の手紙の朗読。これらをクリアに録音することは、その場の感情を再現するために不可欠です。しかし、葬儀会場は天井が高く、音が反響しやすい構造になっていることが多いため、カメラの内蔵マイクだけでは音がぼやけてしまいがちです。音声を綺麗に残すためのコツの1つは、外部マイクの活用です。特定の方向の音を拾う「指向性マイク」をカメラに装着し、話者の方向に向けることで、周囲の雑音を抑えつつ声を強調できます。さらに確実な方法は、小型のレコーダーを壇上の近くやスピーカーの前に設置することです。式場の音響システムから直接ライン録音させてもらえるのがベストですが、許可が必要なため、事前にスタッフへ相談しましょう。また、野外での出棺のシーンなどを撮影する場合は、風の音がマイクに入り込んでしまう「風切り音」に注意が必要です。マイクにウィンドスクリーン(通称:もふもふ)を装着することで、ゴォーという不快な音を防ぐことができます。編集の段階でも、音声の調整には時間をかけるべきです。小さな声を大きくしたり、突発的な大きな音を和らげたりする作業を行うだけで、格段に見やすい動画になります。また、BGMを挿入する場合は、話し声の邪魔にならないよう音量を極限まで絞り、言葉が途切れる瞬間に少しだけボリュームを上げるといったテクニックも有効です。声には、その人の人格やその時の感情がダイレクトに現れます。葬儀の動画撮影で音声を大切に扱うことは、故人の最後のメッセージと、それを受け取った人々の思いを、歪めることなく後世へ引き継ぐという誠実な行為なのです。
葬儀の動画撮影で音声を綺麗に残す重要性