近年、親しい身内だけで執り行う家族葬が主流となっていますが、家族葬だからといって葬儀手続きが簡略化されるわけではありません。むしろ、一般の参列者がいない分、遺族が自分たちですべてを判断し、手配しなければならない場面が増えることもあります。家族葬における手続きの第一歩は、葬儀の範囲を明確に決めることです。「亡くなった人の銀行口座はすぐに凍結される」という話を聞いたことがある人は多いでしょう。実際に、銀行が死亡の事実を確認すると、遺産の不当な引き出しを防ぐために口座はロックされます。これは正当な葬儀手続きの一環ですが、事前の準備がない遺族にとっては死活問題となります。誰に連絡し、誰の参列を断るのかを早急に判断しなければなりません。これに伴い、会社や近所への連絡時に「家族葬で行うため参列や香典を辞退する」旨を正確に伝える手続きが必要となります。また、家族葬であっても火葬許可証の取得や死亡届の提出といった公的手続きは、一般葬と全く同じ流れで行います。注意すべき点は、葬儀費用の支払いです。家族葬は比較的安価に抑えられる傾向がありますが、香典収入を期待できないため、実質的な自己負担額が一般葬より高くなるケースもあります。そのため、葬儀社との打ち合わせでは、追加料金が発生しないか細部まで確認し、契約書をしっかりと交わす手続きを怠ってはいけません。また、葬儀後の手続きとして重要なのが、参列できなかった方への対応です。事後報告のハガキを送る、自宅へ弔問に来られた際の手土産を用意するなど、式が終わった後のフォローアップも広義の葬儀手続きに含まれます。さらに、菩提寺がある場合は、家族葬で行うことについて事前にお寺の了解を得る手続きも欠かせません。お寺によっては、家族葬を認めない、あるいは特定の形式を求める場合もあるため、後々のトラブルを防ぐための丁寧なコミュニケーションが求められます。家族葬は自由度が高い反面、後から「あの時こうしておけば良かった」という後悔が出やすい形式でもあります。1つ1つの手続きに家族の思いを反映させ、納得のいく形で進めていくことが、家族葬を成功させるための秘訣といえるでしょう。